ヤサシイワタシ

おお振り」で注目されたひぐちアサさんの作品。6、7年前アフタヌーンで掲載されていた作品。当時僕は中学3年。
当時の僕は正直言ってこの作品、あまりチェックしていませんでした(BLAME!とか、そういうのを読んでいました。)。

作品としては、おお振りのように、誰にでも勧められるようなものではないです。作者独特の表現技法や、えぐり込まれるような描写が多いので、漫画として読み進む事ができない可能性があります。一方、興味の無い人には全く漫画としては読みづらい作品であると思います。
えぐり込まれる作品ですので、興味のある人にとっては猛毒か良薬、極端な評価になると思います。
作者の特徴は、僕らの日常ありふれた言葉で、心を揺さぶる事ができるという事です。
彼女の作品に一貫して言える事は、いじめ、家庭崩壊、それらを超えた根底にある「根付いた黒」です。
その根付いた黒をどう育ててゆくかが、作品によって違うだけだと思うのです。(殆ど吉田アミさんや雨宮まみさんの受け売りになってしまっていますが)「家族のそれから」「ゆくところ」についても同様です。特に家族や友人と行った人間関係の描写、未来に対する描写が黒いんです。

ただ、その黒を輝かせるか、それとも塗りつぶしてしまうのか、それが特に作品ごとに顕著です。
黒という色は非常に強い色ですから、それに染められてしまう事も、多分にあります。
しかし黒は、絵の中でも重要な役割を担う色です。その黒を、どんな風に使うのか。
その描き分けが、非常にうまい。